Home » 1-XOOPSの説明など

はじめに [Permalink]

 XOOPS(ズープス)というツールがある。うちの本家サイトの一部はこのツールで構築している。なにかを書(描)いたり作ったりして、その創作物を人に見てもらって、彼らと穏やかにフォーラムでコミュニケーションをはかりたいという人たちにとって素晴らしいツールだと思うが、ブログのようにものすごい勢いで普及する雰囲気は今のところあまりない。

「ブラウザを通じて日記が簡単に書ける」
「開設した段階で、既に垢抜けたデザインになっている」

 ブログの売りは誰にでもわかりやすい。しかし、

「コンテンツや閲覧ユーザの管理が容易」

 というXOOPSの売りはサイトを作ったことのない人にはわかりづらい。そのためか、よく「Yahoo!のような、人がたくさん集まるポータルサイトを簡単に作ることができる」というような紹介文が使われる。だが、日記を書きたい人は何万人もいるだろうが、Yahoo!のようなサイトを作りたいという人はあまり多くはないだろう。

 私は2005年1月の時点で使い始めてたった四カ月の若輩者だが、「Yahoo!のようなポータルサイト」や「人が大勢集まるコミュニティサイト」にこだわる必要はまったくないのではと思うようになってきた。
 XOOPSというのは、決して人を大勢集めることを目的としているサイトを構築するのに特化しているわけではない。本体は単なる空の箱に過ぎず、そこにサイトの方向性を決めてから、使いたい道具(モジュール。モジュールについては後述)を自由に入れればいいのだ。
 遠距離恋愛しているカップルが二人だけで使う用に立ち上げ、スケジュール表にお互いのスケジュールを書き込み、撮った写真をアップし合ってコメントを付けてもいいし、特殊な趣味を持っている人たちが内輪でこそこそ話し合えるだけのサイトにもできる。普通のブログも作れるし、誰にも見られないようにして淡々と日記を書くというのもありだろう。
 いや、ちょっと待て。そういうのだったらレンタルBBSや、それこそブログツールでもいいわけで、わざわざXOOPSを使う必要ってあるのか? という人もいると思う。

 というわけで、XOOPSのなにがいいのか、このツールを用いることで具体的になにができて、それがどういった利点をもたらすのかということを記していきたいと思う。XOOPSの説明が書かれてあるサイトはXOOPS Cube日本サイトを始めいくつかあるが、インストールまでというところが多く、XOOPSを使うとなにを作れるのかという発想の手かがりみたいなものがあまり含まれていないように思えた。この「素人が書いたマニュアルもどきもどき」がこれからXOOPSでサイトを作ろうと思っている人の発想の手がかりに少しでもなれば幸いである。

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XOOPSとはいったいなんなのか [Permalink]

基本的に、使うのなら自分でなんとかするしかないソフト [Permalink]

 XOOPSとはなにかということを説明する前に、最初に書いておきたいことがある。それは、XOOPSは「フリーソフト」と呼ばれる類のスクリプト(プログラム)であるということだ。そして、特定の作者が一人で作っているのではなく、有志が手分けして作っているというのも重要な点である。
 この手のソフトを使うときに肝に銘じておくことは、「自分でできることは自分でやる」ということだ。
 たとえば、XOOPSをサーバにインストールしたはいいが、使い方がまったくわからなかったとする。展開したファィルのどこにも、市販ソフトのような懇切丁寧なマニュアルはない。
 こんなとき、ついつい「なんだ、このXOOPSというソフトは。なにができるか全然わからないじゃないか。おまえらがこれを作ったなら、ちゃんとユーザに説明する義務があるだろう。今すぐマニュアルを作れ」と言いたくなるかもしれないが、この注文はあり得ない。
 たとえ話をしよう。30分に1台しか来ないのにもかかわらず椅子がないバス停があったとする。近所に住んでいる人が、立ちっぱなしで待っているんじゃ大変だろう、自由に使ってくれと木製の椅子を作ってバス停に置いた。親が子供を座らせたり、腕が疲れた人が重い鞄を置いたり、好き好きに使われていた。椅子の釘が飛び出てしまったことがあったが、これは見つけた人が石で叩いて直した。
 ある日、雨が降って椅子が濡れてしまった。そして、その椅子に座ろうとした人が烈火の如く、怒った。

「おい、この椅子を作った奴! 早く、水を拭き取れ! せっかく使ってやろうとしているんだぞ! 作ったからには使う人間を不快にさせない義務があるだろう!!」

 100%とはいわないが、ほとんどの人は「いや、それはない」と突っ込んだのではないだろうか。
 椅子の脚が折れてしまったなど、バスに乗る人ではどう考えても直せないという場合なら、作った人を見つけて、「すみません、この椅子壊れてしまったんです」と報告し、直してもらうことを期待するのはありだろう。だが、手で雨水を払えばそれで済むのに、わざわざ作った人を呼び出して濡れている椅子を拭けと命じるのは「サービスの要求」である。契約などない間柄で、サービスを要求するのはおかしい。
 フリーソフトを使うのによくいわれる言葉は「あくまでも自己責任で」である。わからなかったら自分で調べる、なかったら自分で作る、というのがお約束の世界だ。教えてもらう、作ってもらうというのも当然ありだが、その場合、モニターの向こうにいる人はサービスマンでもなんでもないことを頭に置いてほしい。

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一つのシステムでサイトのすべてを管理する [Permalink]

 それではXOOPSの説明に入ることにしよう。
 XOOPSとはCMS(コンテンツマネジメントシステム)の一種である。早い話、掲示板とかブログとかを一つのシステムで管理してしまおうというものだ。もっとわかりやすく言うなら、自分のサイトを一つの会社にしてしまおうというものである(※なお、本文では便宜上、ポータル系のCMSをCMS、CMS系のブログはブログとさせていただく)。
 たとえば、今までのサイトはブログと掲示板が一緒にあったとしても、それはトップページからリンクが張られているというだけの別々のサービスであることが多く、「このサイトのどこかに○○の話が載っていた。また読みたい」と思って、ブログにある検索ウインドウに「○○」と入力しても、ブログのログしか検索対象にならないという問題点があった。もしそこで引っかからなかったら、改めて掲示板のログを読む必要があったのだ。会社に置き換えるなら、

部長「前さ、ここに油絵飾ってあったよね」
社員「あー、なんかあったような気がしますね」
部長「あれ、どこへ行ったんだっけ?」
社員「A社に出向したBさんが社長から許可をもらったとか言って、A社に持って行ったような気がします」
部長「ということは、A社に確認しなくちゃいけないのか」
社員「はぁ」
部長「なんだよ、確認するの、めんどくさいなぁ」

 という感じになる。指示系統が分かれてしまうことによって、余計な手間がかかってしまうのである。A社が倒産(レンタルしている掲示板がサービスを停止)していたり、A社の電話番号を忘れてしまったり(パスワード忘却)すると話はもっとややこしいことになる。

CMSを使っていないサイトのイメージ

キャプション CMSを使っていないサイトのイメージ。管理及びカスタマイズするためには、それぞれのアドレスへ飛んで個別のIDとパスワードを入力しなければならない。

 ところがCMSの場合、ブログと掲示板が同じシステムの中で動いているので、「○○」と検索に入力すれば、その「○○」という文字列がブログにあろうが掲示板にあろうが必ず引っかかる。よって、

部長「前さ、ここに油絵飾ってあったよね」
社員「あー、なんかあったような気がしますね」
部長「あれ、どこへ行ったんだっけ?」
社員「我が社のグループの資産にはすべてIDが振られているので、担当部署に確認してみましょう」
部長「おう、頼む」
社員「わかりました、A社の倉庫にあるそうです」

 こんな感じで話しが早い。運営者の権限ですべてをコントロールできるので、「サービスが停止してしまったので新しい所を探さないといけない」とか「管理パスワードを忘れてしまい、完全に制御不能に陥った」なんていうトラブルがない。

CMSを使ったサイトのイメージ

キャプション CMSのイメージ。すべてのコンテンツが内包されているので管理が容易になる

XOOPSの検索画面

キャプション XOOPSのシステムに内包されているファイルであれば、どこにあろうとも検索が可能。

 一つのシステムですべてをカバーするということは、玄関が一つしかないということなので、ユーザ(会社に出入りしている人)の特定も容易にでき、ログインしていればどこになにを書こうが必ずその人の名前が表示されるようになっている。

XOOPSでのアカウント情報

キャプション これは私のアカウント情報。いつどのモジュールに投稿したのかということが記録されている。

認証を求めるメール

キャプション ユーザ登録すると、認証を求めるメールが自動で送られてくる。基本的に、存在しないメールアドレスでは登録できないような仕組みになっている

 また、掲示板やコメントであまり使ってほしくない言葉を書き込むユーザがいる、どうにかしたいという場合は、その言葉を管理画面で禁止すれば、ブログのコメントでも掲示板の書き込みでも、とにかくサイト上のどこであれ使えなくなる。一つのシステムでサイトのすべてを管理するというのがCMSの醍醐味であり、面白いところである。

禁止用語設定画面

キャプション 禁止用語の初期の設定。処理を有効にして、禁止用語を書き加えていけば、誰であろうとも自分のサイトではその言葉は使えなくなる。

イベント選択画面

キャプション いろいろなモジュールに付いているイベント画面(ちなみにこれはフォーラム)。チェックを入れれば、新たな投稿があった時にメールで知らせてくれる。この手の機能は、CGIを使った掲示板では管理者か投稿者本人だけしか使えなかったが、XOOPSではユーザすべてに対応することができる。

コラム [コラム]XOOPSはmixiのようなソーシャルネットワークサービス構築に向いているか? [Permalink]

 閲覧者を登録ユーザ、ゲストと分けられる、ログインしないと見られないコンテンツを作成できる、といった特徴から、XOOPSを使ってmixiのようなソーシャルネットワークサービス的なサイトを作りたいと考えている人も多いだろう。
 では果たしてXOOPSはソーシャルネットワークサービス構築に向いているのだろうか? ソーシャルネットワークサービスの定義を、

  • ログインしないと全体が見られない
  • ユーザ登録するためには既にユーザになっている人間からの招待状が必要
  • 登録ユーザが視覚化されているコミュニティの存在
  • 個別に日記(ブログ)をつけることが可能
  • ユーザ同士のつながりが視覚化されている(mixiでいうところのマイミク)

 とすると、現時点(2008年1月)で、MyFriend Moduled3blog or weblogD3 or mydiary(これは公の場所にはないが……)、xsnsを組み合わせることで構築自体は可能だ。可能ではあるのだが、だから向いているのかというとその判断は難しいところである。私の個人的な見解だが、XOOPSというのは特定の個人、または特定の個人の作品、研究結果などを掲げて、その上で人を集めるのには向いているが、フラットな集会所を作るにはあまり向いていないと思う。XOOPSを完全mixiクローン化するというのは、十種競技をやらせれば金メダルを取れるアスリートを、足の速さだけに注目して100メートル走専門のランナーにするようなものである。意味がないとはいわないがうまいやり方ではない。mixiが理想だというならば、OpenPNEか、そこから派生したMyNETSを使う方が多分満足できるだろう。

OpenPNEで構築したサイト

キャプション OpenPNEで構築したサイトの例。SNS運営に特化している。

 もう少しだけ突き詰めて書くならば、特定の個人が自分の作品や研究結果などを発表し、ユーザを集め、その上でユーザ同士が意見交換できたりするようにしたいというサイト(たとえば著名人のファンサイト)を作りたいのならばXOOPS、そうではなくて、閲覧者も運営者もあくまでもイーブンな関係で、共通している大枠の興味、テーマ(“ニューヨークに住むヤンキースファン”ではなく、“ニューヨーク在住の邦人”など、興味のベクトルがまったく違う人たちを大きな円で包括するような)を掲げてユーザ同士がやりとりできるサイト(たとえば特定地域に住む人だけを集めるコミュニティサイト)を作りたいというのであれば、OpenPNEやMyNETSといったソーシャルネットワークサービスを構築する専門のスクリプトを使った方が多分うまくいく、と思う。

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炎上の火種となる「閲覧者との距離」をある程度コントロールできる [Permalink]

 私は、CMSというのは創作系のサイトが使うとピタリとはまると思う。
 最近、「炎上」という言葉をよく聞くようになった。ブログなどで反社会的なことを書いてしまい、「それはいかがなものか」と物申したい人がわっと集まる現象だが、反社会的なことを書かなくても常連内炎上とでもいおうか、普段いる人たちの間で大騒ぎになることはいくらでもある。
 一例を挙げるなら、

新しい創作を発表する

大盛況

ブログのコメント欄(掲示板)は運営者への賛辞でいっぱい

「信者ばっかできもい」みたいなコメントがつく

嫌なら見るな、おまえの方がきもい

見られるのが嫌なら公開しなければいいのでは? と通りすがりさん

なんだなんだって感じで人が集まってくる

囃し立てたりする人が出てきて、場が興奮状態に包まれる

以下、いつもの泥沼へ

 こんな感じだ。
 こうなってしまう要因の一つとして、個人的には、運営者がすべての閲覧者との距離を均一にしてしまうことでひずみが生じるからではないかと考えている。多少の差はあれど、訪問者は基本的になんらかの好意あるいはリスペクトを運営者に対して持っていると思う。しかしながら、誰しもがコメント欄や掲示板で運営者に対しての賛辞を読み続けたいわけではないし、創作の才能は大いに認めていても、運営者の日常の言葉が鼻につきかけている人だっている。

 以上のことをもう少し細かく書いてみよう。創作した絵や文章を発表しているサイトがあるとして、そのようなサイトには以下のような訪問者がいる。

  1. 作品を通じて運営者自身に興味がある
  2. 運営者自身には興味がないが、作品には興味がある
  3. 運営者、作品、どちらにも興味がある

 1の訪問者は、こういう作品を作った人と話せたら面白いだろうなぁということで、フォーラムなどのコンテンツが充実していることを望むし、2の訪問者はフォーラムやチャットなどのコンテンツは邪魔なだけで、すっきりとした画面で作品だけを鑑賞できればいい、3の訪問者は作者の内面も知りたいし、隠されたボツ作品なんていうものがあれば見てみたいと思う。
 1の訪問者に合わせてサイトを作ってしまうと2の訪問者は不必要なコンテンツを前にイライラしてしまうし、2の訪問者に合わせると1や3の訪問者は物足りない、3の訪問者に合わせると2の訪問者は1の訪問者に合わせた時以上にいらついてしまうのだ。
 従来のサイトでは、それぞれの訪問者と同時にうまく付き合うというのが難しいために、いずれかのグループでの不満が爆発して、結果、常連内炎上に至ってしまう、というのが私の考えである。特に1と2、または2と3のユーザが同席すると発火しやすいと思う。

 そこでXOOPSだ。ユーザ登録機能やアクセス権限の設定機能などを活かしてそれぞれの要望にうまく応えることができる。

 だが、現時点で残念ながら導入している創作系サイトはあまりないようである。レンタルしているサーバではデータベースが使えない、大げさな感じがして面倒くさそう、ブログと違って無料で提供する会社がないというのが手を出さない理由だろうが、一番大きいのは情報があまりにも少ないということではないだろうか。私は去年の夏、自分のサイトにログイン画面を付けてみたいという、ただそれだけの理由で気楽に導入に踏み切ったはいいが、半年経った今でもあまり理解できていない。
 XOOPS Cube日本サイトでは専門用語が飛び交っていて、フォーラムで質問するとなると鼻で笑われたらどうしようと怯えてしまうし(実際にはそんなことは決してないが)、わりと最近聞くツールだから説明サイトみたいのがあるのかなと思って探してみても、これが意外と少ないのだ。

 XOOPSで作られたサイトをよく見るようになって興味を持ったが、どうしていいのかわからない文系の人というのは結構いるかもしれない。同じ文系として、とりあえずここまでの運営で得た文系の人間がXOOPSを導入する場合のポイントのようなものを書き記しておこうかと思う。

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2005年1月6日執筆 2008年1月6日加筆修正